型ものがたり
錐彫(きりぼり)
最も古くからある彫り方で、針の様に細い半円形の刃先の小刀を用い、
丸い小さな孔を無数にあけて、あらゆる文様をつくり出します。
当て場に両肘を固定して地紙に垂直に立て、小刀を回転させて孔を彫ります。
一見単純な文様であるが、それゆえ彫りむらが目立つために、粒(皆目)の揃いが
肝要であるがゆえ、もっとも高度な技術と修練を必要とするものです。
特に極鮫小紋の場合などには、一寸(約三センチ)四方に一千個以上の孔を彫る事が
あります。
代表的な文様には「鮫小紋」「行儀」「大小島津」「通し小紋」があります。
錐彫(きりぼり)
突彫(つきぼり)
突彫(つきぼり)
友禅などのやや大柄の文様を彫るのに適した、細長い三日月型の小刀を使います。
地紙を八枚重ねて、傾斜のついた桐の一枚板に穴をあけた穴板の上に置き、
垂直に突くようにして小刀を彫り進めます。
曲線や鋭角的に切り込みを彫ることができるので、絵画的な柄の型紙に用いられることが
多いのです。
代表的な図案には「ひじき縞」「菊菱」「七宝」などがあります。
道具彫(どうぐぼり)
道具彫は、小刀の先が花・扇・菱などの形に作られているものを、
突いて彫り抜く技法です。
一枚の型紙に何種類もの道具を組み合わせることで、整然とした文様を彫りだします。
道具を作ることが、この技法では重要な仕事であり、道具の出来栄えが
作品に強く影響します。
錐彫とともに小紋用に最もよく用いられ、「御召十」「七宝」「菊菱」「梨割」
などが、代表的な文様です。
道具彫(どうぐぼり)
縞彫(しまぼり)
縞彫(しまぼり)
縞彫は、毛髪のように微細な筋を何百本も彫って、極細の縞柄をつくる技法です。
後の糸入れのため、二枚重ねになった地紙をはがして一枚に戻し、八枚から十枚
重ねて彫ります。
あらかじめ上型に彫る縞筋の目印をつける割付を行い、小刀の刃を軽くつぶした
「星目突」という道具を星(点)を打ち、断面が蒲鉾形に湾曲した薄い鋼の定規を
それにあて、右側から一気に彫りすすめます。 一度彫り始めると彫りあげるまで、
数時間は席を立つことができない、高い集中力を要します。
一寸幅の中に入る筋の数によって「大名」「万筋」などの名がつけられており、
中には一寸幅に三十一本もの筋を彫った「極微塵」と呼ぶ、神業と思える程細かい
作品もあります。
糸入れ
縞や模様柄など、彫ったあとで地紙の少なくなってしまうものは、片付けの際に柄が
ずれてしまいやすいので、それを防ぐために、二枚の型紙の間に糸を入れて固定します。
生糸を糸掛け枠に掛け、柿渋で型紙と接着します。生糸は極細の春繭の二十一中、
柿渋は五年ほど枯らしたものを使うなど、材料の吟味が大切です。
どんなに精巧な彫りも、糸入れがうまくいかないと、その技術がいかされません。
縞柄は糸入れが命と言われています。
糸入れ(いといれ)
道具づくり1
道具づくり2
道具づくり3
道具づくり4
道具づくり
伊勢型紙の一つに「道具彫り」があります。 菱形や花びらなどの形の道具(彫刻刀)は彫師が自ら作り上げ、
その道具を用いて紋様を押し抜く方法です。
俗に「ゴットリ」とも呼ばれ、一つの柄を仕上げるのに多い場合数十種類の道具を使用します。
一、(角型・半円型・三角形等)のミゾガネ二板金をはめ、金槌で形を作ります。
二、種油を付け、焼きを入れます。
三、2枚に合わせ、銅線で縛ります。
四、砥石で研ぎあげます。
型地紙の製造工程
染型紙には、高度な彫刻技術と共に、強くて伸縮しない性質の紙が欠かせません。
この紙を型地紙とよび、美濃和紙を柿渋でベニヤ状に張り合わせ、燻煙と乾燥による伝統的な製法で作れます。
一、法造り(ほづくり)
200枚から500枚の和紙を重ね規格寸法に裁断します。
二、紙つけ
3枚の和紙を紙の目に従ってタテ、ヨコ、タテとべニヤ状に柿渋で張り合わせます。
三、乾燥
紙つけの終わった紙を桧の張板に貼り、天日で干します。
四、室干し(むろがらし)
乾燥した紙を燻煙室へ入れ、焼1週間いぶし続けると、伸縮しにくいこげ茶色の型地紙となります。
さらにもう一度紙渋に浸し、天日乾燥→室干し→表面の点検という工程を経て型地紙になります。